ミカルディスの働き

高血圧治療の歴史は長く、その治療薬として有用な降圧剤も古くから知られているものが多数あります。
しかし、患者数の増加も著しいことから、より有用性の高い治療薬を求めて開発研究が進められてきました。
ミカルディスはそういった流れの中で登場した降圧剤として比較的新しいものであり、医療現場においてもしばしば使用されるようになってきています。
その基本的な働きとして知られているのがアンジオテンシン受容体と呼ばれる血圧調節にかかわる受容体に対する阻害作用です。
腎臓由来の血圧調節系であるレニンーアンジオテンシン系においては、アンジオテンシンと呼ばれる物質がその受容体に作用することによって血圧を上昇させることが知られています。
その受容体に対して阻害的に作用することによって降圧作用を発揮するのがミカルディスの基本的な働きとなっています。
同様の働きによって降圧作用を示す医薬品が開発されているものの、ミカルディスは近年になってあらためて注目されるようになりました。
それは、ミカルディスには他の同種の薬にはない働きがあることが示されてきたからです。
その働きとは臓器の保護作用であり、腎臓や心臓などの高血圧によってストレスがかかりやすい臓器に対してかかる負担を軽減する作用があることが臨床的に明らかにされました。
その働きを示すメカニズムの解析も進んでおり、PPARγの活性化によってアディポネクチンの分泌を増やすことがメカニズムであると知られるようになってきています。
こういった効果があることによって糖尿病患者のように腎臓にリスクを抱える人にとってより有用な医薬品としての立場を確立することができているのがミカルディスです。